空き家Q&A

【空き家全般について】

Q.空き家のままにしておくと何か問題があるのですか?

空き家を所有しているからといって、すぐさま問題ということではありません。
 適正に管理されずに放置されると、空き家は老朽化し、倒壊するなどして、周囲に迷惑をかけたり、場合によっては人に危害を与える恐れもあり、その場合、所有者自身にも損害賠償責任等が発生する可能性も考えられます。
 一方で、それほど老朽化が進んでおらず、まだ利活用可能な空き家をそのまま放置して置くのは、資産活用の観点からも望ましいとはいえないと思います。
 出来得るなら、地域の資源として有効活用し、転入者を受け入れたり、地域の交流の場として利用することで、地域の活性化に繋げることも可能です。

Q.空き家をどうするかは所有者の自由ではないのですか?

 所有者には、建物の管理責任があり、建物が倒壊したり、物が落下したりするなどして近隣の建物や通行人などに被害を及ぼした場合、民法の規定によりその建物の所有者は損害賠償などで管理責任を問われることがあります。
 市町によっては、空き家条例により空き家の適切な管理を義務づけているところもあります。
 また、新たな制定された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家等の所有者等に、空き家等が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努めることを責務としています。

Q.空き家の所有者に連絡を取るには?

 法務局に行けば誰でも登記事項を閲覧(有料)することができますので、登記されている所有者の住所を把握することが出来ると思います。ただし、中には、住所変更等の変更登記がなされておらず空き家の住所のままになっている場合や、相続前の故人名義のままになっている場合もありますので、注意が必要です。
 各地域によって異なりますが、そのまま放置すれば倒壊する恐れがあるなど著しく保安上危険と思われる空き家については、市町の条例等によりその情報を市町に提供することにより、市町から所有者に指導・命令・勧告がなされるところもあります。
 空き家の所有者を直接教えてもらうことは個人情報保護の観点から出来ませんが、条例に基づき市町が所有者に連絡を取ることもできるでしょう。

【空き家対策法について】

Q.空き家対策法って何?

 これまでは、全国の市町村で各自条例等を制定して空き家対策が行われていましたが、このたび、国・都道府県が一体となって空き家等の問題に対処するため、平成26年11月に「空き家等対策の推進に関する法律(空き家対策法)」が成立し、平成27年2月26日に一部施行され、平成27年5月26日に完全施行されました。
 主な内容としては、税制上の軽減を受けている適正に管理されず放置されている空き家等の中で保安上危険であると見なされた空き家を特定空き家に指定し、固定資産税等の課税強化(税制上の軽減の適用除外)が図られるとともに、助言・指導で状況が改善しない場合、勧告が施された後、行政による代執行で除却できるようになりました。

Q.何で固定資産税が6倍になるの?

 厳密に言うと、固定資産税が6倍になるわけではありません。
 住宅用地にかかる固定資産税は、1戸につき200㎡以下の敷地部分については、固定資産税の課税標準を評価額の1/6にするという軽減特例があり、都市計画税については同様に、課税標準を評価額の1/3にするという軽減特例があり、皆さんはその特例を受けているのです。
 空き家対策法では、「特定空き家」の指定を受け、かつ、指導助言内容が履行されない場合、又、状況が改善されない場合に、この軽減特例の適用対象から除外(適用されなくなる)されることから、本則課税(正規の税率に戻る)となるため、固定資産税等の金額が大きくなるということです。

Q.具体的にどれくらい税金が変わるの?

 あくまで一例ですが、例えば住宅用地に係る特例を受けている35坪(115.70㎡)の敷地で、固定資産税評価額が600万円だとした場合
 □ 固定資産税 600万円×1/6×1.4%=14,000円
 □ 都市計画税 600万円×1/3×0.3%=6,000円    合計 20,000円
 同じ前提で軽減特例が適用されない場合で、かつ、負担水準を70%とした場合
 ■ 固定資産税 600万円×70%×1.4%=58,800円
 ■ 都市計画税 600万円×70%×0.3%=12,600円   合計 71,400円
 となり、毎年かかってくる固定資産税等が約3.6倍になります。
 いずれの場合もこれに加え、建物の固定資産税等が加わって参りますので、上記試算結果より税額は高くなります。

Q.どんな空き家が「特定空き家」の対象になるの?

 空き家対策法では、「居住その他使用がなされていないことが常態である建築物」とされています。具体的には、1年を通して人の出入りや電気・ガス・水道の使用がないことが、空き家であるか否かの判断となっているようです。
 空き家の状態としては、次のような状態にある空き家を指します。
  > 倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
  > 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
  > 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている場合
  > その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
 これらに該当する空き家の場合、所有者に指導・助言があり、それでも状況が改善されない場合等に「特定空き家」としての勧告を受けることになります。

【空き家の利活用について】

Q.空き家を相続したが利用する予定がない。どうすればよいか?

 相続された空き家が、住まいとして活用でき、需要もあるような地域であれば賃貸住宅として貸し出すのも一つの方法だと思います。
 住宅は、人の出入りの有無もそうですが、使用されなくなると、またたくまに老朽化が進行しますので、適切に維持管理を行わず、そのまま放置しておくのが一番の問題であると考えられます。既に老朽化しており、リフォーム等を施しても使用することが難しい住宅の場合は、取り壊して更地で所有するか、売却するかになるのではないでしょうか?
 駐車場等の需要があるところでは、コインパーキングなどに利用し、資産として保有することも可能かもしれませんが、地域としては、コインパーキング等が虫食い状態で乱立するのもあまり望ましいとは言えないかもしれません。それであれば、地域に貸し出し、ゴミ集積場としたり、災害時の緊急避難場所等に提供するのも良いかもしれません。
 少なくとも、住宅のまま保有する場合も、更地にして保有する場合も適切に維持管理することが必須です。遠方にお住まいで中々目が届かない場合などは、地元の不動産事業者へ管理を委託することが望ましいでしょう。
 このように地域のことも視野に入れつつ、じっくり検討することが必要です。

【空き家の相続について】

Q.空き家の相続を放棄したい。どうすればいいの?

 相続放棄するには、原則として、相続が開始してから3ヶ月以内に、相続人が相続放棄の申述書という書面を作成して、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申請することが必要です。
 ただし、相続放棄は、空き家だけを放棄することはできず、預貯金等プラスの財産を含めた全ての相続財産を放棄することになります。

Q.相続を放棄したら空き家の管理義務は無くなるの?

 民法第940条では、相続放棄により相続財産が無管理状態になると、他の相続人や相続債権者、受遺者等に不利益を与えてしまう恐れがあるため、相続を放棄した者に対して、放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、その財産の管理を継続しなければならないと定めています。
 空き家を相続放棄したとしても、次に当該空き家の相続人となった者が空き家を管理できるようになるまでは、引き続き管理義務を負うということです。もしこの義務を怠り、老朽化した空き家の屋根が飛散する等して周囲の住民等に被害を及ぼした場合には、法的責任を追及される恐れがあります。

【空き家の税金について】

Q.齢の親が施設に入所することになった。子どもである私たちは県外にいるので、先々のことを考えると親が居住している家は空き家になる可能性が高い。どうすればよいか?

 思い入れのあるご実家ですので、お悩みのことと存じますが、もし売却をお考えのようでしたら、居住用財産を売却した際に生じる譲渡益に対して譲渡税がかかりますが、この場合3,000万円の控除を受ける軽減制度があります。
 しかし、この制度は、期限の定めもある上、その住宅に居住していた方所有者が譲渡した場合に限られますので、将来、相続人となる相談者様がその住宅に居住する予定がないのであれば、所有者様がご健在なうちにご相談の上、売却・譲渡してしまうのも一つの方法と考えられます。

【空き家の解体について】

Q.解体費用に一般的な相場ってありますか?

 解体費用の算出根拠としては、空き家の大きさや広さはもちろんですが、木造、鉄筋、RC等の家屋の構造や接道状況・住宅の密集状況等により重機が使用できるか否か、隣家等の養生費用、廃棄物の処分や手続き費用、事務処理費用等が必要になりますが、これら算出根拠の状況・状態により個別に異なりますので、決まった相場というものはありませんが、一つの目安としては次の通りです。
  > 木 造 1.8万円~4.0万円/坪
  > 鉄骨造 2.5万円~4.5万円/坪
  > RC造 2.5万円~6.0万円/坪
 また、先程記載した住宅が密集した地域で大型重機が入れないような場合には、人力による手壊しもされますが、手作業解体の場合は通常の2~3倍の費用がかかると言われています。小型重機を持っている解体業者であれば、1.5~2倍程度に抑えられるようです。
 このように、空き家の状態、周囲の状況、作業方法、地域等により、費用は異なって参りますので、正確な解体費用を把握するには、やはり解体業者に具体的なお見積もり(有料)を提示してもらう必要があります。

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